最終編 照子ちゃんの場合

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俺がまりちゃんを連れ出そうとすると、照子さんが引き留めた。 「まりちゃん。お姉さんと一緒に踊りましょう?」 「おどるの?やったことなーい。」 えええー・・・まりちゃんもやるのか? なんのために? まさか、アイドル化計画に巻き込むんじゃなかろうな。 「誰かが一緒にやってくれたら、続けられそうなのですもの。」 どれくらい籠って続ける気だ、照子さん。 それじゃあどのDVDがいいですかと尋ねてみる。 「これがよろしいのではないかしら。きっと楽の音に合わせての踊りなのでしょう。しかも、これまで未体験の外つ国の方々が踊っているみたいですし。」 それは、特にくびれを強調したラテンダンス系のDVDだった。 「わかりました。とりあえず、つけます。まりちゃん、ちょっと見て、やりたかったらやってもいいけど、興味がなかったら出ておいで。あと、照子さん、小上がりの戸を強固に閉めていただいてかまいませんが、店の戸は開けてください、お願いします。」 小上がりのみ異空間にしてくれていいから、店はやらせてくれ。 俺の最大限の譲歩だ。
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