最終編 照子ちゃんの場合

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照子さんとまりちゃんに、再生と停止、取り出し方と入れ方を教え、何かあったら声をかけてくださいと言うと、二人ともはーいと元気に返事をした。 DVDの再生が始まったのを確認すると、俺はそっと小上がりの戸を閉めた。 一応10数えてから戸を開けようとしたが、店側からはもう開かなくなっていた。 だったら店の戸はと確認しようとしたら、外から思いきりぴっしゃーんと音を立てて開いた。 「泉実!照子ちゃん、来とるんだな!」 「すまない、泉実!また迷惑を!」 「姉上ー!姉上ー!」 一気に騒々しくなる店内。 やかましいぞ、神様ズ。 気持ちはわからんでもないが。 「落ち着いてください。お互いに説明し合いましょう。それと、今うちの小上がり、天の岩戸状態ですから。まったく開きません。」 それから・・・ 「スサくん?悪さしたんだって?」 俺に睨まれて、スサくんがぎくっと肩をすくませた。 「ううう・・・腹が減ってたんだ・・・それに!それに!姉上には謝ったし!高御産巣日にはぶたれたし!」 謝らないといけないようなことをしちゃいかん。
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