最終編 照子ちゃんの場合

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「そういうときは、ちゃんと断ってから食べること。それと、代わりに虫を入れない。」 「何か入っていた方がいいかと。」 いいわけあるか。 髭ぼうぼうの大男が、そこら辺から虫を捕まえてきて菓子器に詰めるとか、程度があまりに低すぎるだろう。 「まったく、卑しい親父のせいで、とんだ騒動だよ、この忙しい年の瀬に。」 ウカさんが、大きいため息をついた。 もうすぐ正月だもんなあ。 年越しから初詣まで、神様たちは大忙しなはず。 こんなことをしている時間はないはず。 「仕方なかろう!泉実はなあ!俺様に毎日三食以外におやつをくれたのだぞ!もはや俺様は、おやつがなければ耐えられん体になってしまったのだ!」 やっぱり俺か!俺のせいか! 俺が習慣つけたのが悪かったのか! 厨房でがっくりと膝をつきかけた俺と、「そんなわけがあるか、馬鹿もん!」とタカさんがスサくんの首根っこを押さえて、脳天を拳でグリグリした。
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