最終編 照子ちゃんの場合

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「違うから、泉実。元々、親父は食いたいときに食うような意地汚いやつだから。泉実のせいじゃない。」 ウカさんが否定してくれなかったら、俺はこの状況の責任をとらないといけないのかと絶望的な気分になるところだった。 どうにか立ち上がった俺は、神様たちにお茶を出した。 まだ開店時間じゃないので、酒は出さない。 「こちらであったことをお話しますね。」 俺は、商店街での出来事を話した。 御守りをつつかれたことを話すと、ウカさんが「それで気づいたんだよ!」と叫んだ。 やはり、それでバレたか、照子さん。 この御守り、機能しててもバレ、機能しなくてもバレるという、いいんだか困るんだかわからない代物だな。 「それで、今は小上がりを天の岩戸代わりにして、ダンスの練習をしてます。俺がテレビとDVDプレーヤーを自宅から運び込みました。でもって、まりちゃんも付き合わされてます。」 話しているうちに腹が立ってきたが、たぶんアイドル化計画なんてタカさんやウカさんが言い出しているはずもないので、ここで怒っても八つ当たりだよな。 なので、努めて笑顔で話すようにした。
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