最終編 照子ちゃんの場合

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そんな俺の笑顔を見て、スサくんがふるふる震える。 「い、い、泉実、すまん。母上に迷惑をかける気はなかったのだ。」 母上って誰のことだ、いつ俺がこんな髭もじゃな大男の母親になった。 「泉実、おまえ、怒りを堪えて笑顔になると、迫力が増すんじゃなあ。」 「温厚な泉実をここまで怒らせるなんて・・・本当に高天原を代表して謝罪するよ、ごめん。」 俺の笑顔で逆に気を使われるという有り様。 そんなに怖いのか、俺の顔。 ちょっとショックだ。 俺は、慌てて顔をごしごしこすって、すいませんと頭を下げた。 客商売で、そこまであからさまに表情に出したらまずいまずい。 しかし、昔から人間相手には表情が変わらないやつと言われてきたのに、人外の皆さん相手には感情が駄々漏れなんだよなあ。 困ったもんだと思いつつ、今度はタカさんたちの話を聞かないと。 「それで?高天原のアイドル化計画とか再燃とか、どういうことなんですか?」 そこを解決しないと、照子さん、帰ってくれそうにない。
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