最終編 照子ちゃんの場合

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俺の問いに、タカさんたちは気まずそうに顔を見合わせた。 「まあ、その、最初はウズメちゃん一人を讃えてのことだったんじゃがなあ。」 よほど、照子さんをひっぱり出したときの踊りがよかったのか。 聞けば、その、非常に官能的だったとかで。 特に胸が。 てか、アイドルはそこまでぽろりはしない。 「ところがしばらく前から・・・」 「あの一つ目め!あれっだけ俺様たちが説教したってのに!」 一つ目? 「タカが高天原復帰を許可した天目一箇神(あまのまひとつのかみ)が、人間社会でのめり込んでいたアイドルを忘れられなくて、布教したんだよ。まったく、あいつはもう一度妖怪に堕とせばいいんじゃないか、タカ。」 天目・・・ああ!一本だたらか! 元々は天目一箇神という日本の神様だったのに、堕ちて妖怪一本だたらになっていたというあのお客さんかと、俺は納得した。 確か、来店して高天原に口利きしてくれと言ってきながら、アイドルにどっぷりハマっていることが発覚したとんでもない神様だった。
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