最終編 照子ちゃんの場合

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そう考えていると、まるで俺の考えが伝わったかのように、小上がりの戸が中から開いた。 全員の視線が、小上がりに集中する。 「まりちゃん!」 「いずみー、面白かったー!喉かわいたー!」 どうやら満足したらしいまりちゃんは、小上がりからピョンと飛び降りると、ぱたぱたとカウンター席までやってきてミハイさんの隣に座った。 さすが神様、汗一つかいていない。 それでも喉が乾くもんなのかなとか、まりちゃんは元々人間の赤ちゃんが神様になったようなもんだから人間的な感覚があるのかなとか思っていると。 「て、照子ちゃん!」 「姉上!大丈夫か!」 神様ズが、何やら大慌てで小上がりに殺到。 何があったのかと背伸びして覗くと。 小上がりの畳に上に、ぐったりと倒れ込む照子さんの体が見えた。 え、うちの居酒屋で高天原最高神が倒れるって、それってバチが当たる確定なんじゃ・・・ 「だ、大丈夫です・・・わ、若い子の体力ってすごいわあ・・・こんなに何時間も動き続けて平気だなんて・・・」 いや、あなたもそれだけの体力があったらもう十分です。 どうやら、単に疲れただけのようで、少しだけほっとした。
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