最終編 照子ちゃんの場合

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それに、踊っている間は、照子さんが天の岩戸に引きこもることもないだろうし、男の神様たちに他の女性の神様たちがもてはやされているのを見て嫉妬することもないだろうし。 「ダンスのあとは、皆さんでお茶やお菓子を前に反省会という名目でおしゃべりもいいでしょうし。照子さん、普段、なかなか他の神様たちと親しくお話する機会、少ないんじゃありませんか。」 「そうですの!いつも女官たちにかしずかれて、皆さん私に遠慮ばかり。」 そりゃあそうだろう、なんたって最高神だ。 「俺の提案なんて、たかが平凡な人間の考えですんで、高天原の神様たちの事情にはそぐわないでしょうが。照子さん一人、寂しい思いをすることはないんじゃないでしょうか。せめて、どこかで息抜きなり、気兼ねなく振る舞えるような場があってもいいんじゃないかと・・・すいません、出過ぎたことを言いました。」 タカさんたちがぽかーんとしているので、俺はなんだかピントのずれたことを言っている気がして、最後は尻窄みになった。
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