最終編 照子ちゃんの場合

55/76
前へ
/260ページ
次へ
ミハイさんに上から目線で言われて、ウカさんもスサくんも悔しそうに黙る。 その間に、俺の肩を叩いていたタカさんが、照子さんの手を取って熱く語った。 「照子ちゃんはなあ、父親の目ん玉から生まれて以来、さして我が儘も言わず、よーく頑張った。生まれてすぐに、高天原を治めろとか、イザナギめ無茶を言いおってと思っとったが、照子ちゃんはその期待に応えた。」 目ん玉? 父親、イザナギの目から生まれた? 俺が驚いていると、ウカさんが教えてくれた。 黄泉の国から戻ってきたイザナギが、その身を洗い清めたときに、左目から生まれたのが照子さん、右目から生まれたのが月読命、鼻から生まれたのがスサくんだという。 スサくん・・・鼻からか。 だからと言うわけじゃないが、照子さんやお兄さんの月読命とどこか違うのは、生まれが理由ってわけじゃないよな? 「スサ坊は暴れるし、大国主はなかなか国譲りをせんし、苦労も多かった。最高神なんぞと奉られて、自分と同等のもんがおらんのは、さぞ寂しかったろう。すまんかったなあ。」 あ・・・
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10543人が本棚に入れています
本棚に追加