最終編 照子ちゃんの場合

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タカさんの気持ちが、少しわかってしまった。 神様は、天津神と国津神に分かれる。 その中で、タカさんはさらに別天津神と呼ばれる存在。 一緒に降臨した二人の神様は、既に隠れてしまった。 大国さんが、ロキに騙されていろいろと画策していたときに、そういう話になったんだった。 そうか、タカさん、一人だってことの寂しさを誰よりも知っているんだもんなあ。 どんなに高天原でウカさんたちと上手くやっていても、ふとしたときに思い出すとかあるのかもしれない。 だから、一番偉い地位にいる照子さんの孤独も理解できるのかもしれない。 崇められているだけでは、きっと寂しい。 「照子ちゃん。高天原に戻って、照子ちゃんの思うようにやればいい。他の女神たちと一緒に踊ってもいいし、好みの舞踊団を作ってもいい。男神どもなんぞ気にするな。だから、高天原に帰ってきてくれんか。照子ちゃんがおらんと、高天原がたち行かん。第一暗くて困っとる。」 こっちの世界も、どうにも薄暗い天気になっているので、やはり太陽神である照子さんには、高天原に帰ってもらいたい。
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