最終編 照子ちゃんの場合

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神様たちの一番最後に店から出た照子さんが、振り返った。 「本当にお世話になりました。今度、ぜひ一度こちらにも遊びに来てくださいね。いくらでもご案内します。」 いえ、遠慮しておきます。 そんな、神様の世界になんてとてもじゃないが。 行ったら最後、戻ってきたら百年経ってた、みたいなことになりそうだし。 店がありますんでお気持ちだけでと、ソフトにお断りさせてもらった。 背後で、殺気が痛いしな。 ミハイさん、あからさますぎる。 それではと、照子さんが手を合わせた。 「こちらのお店に、善きことがありますように。  こちらにお住まいの方に、福がありますように。  私の名において、今年一年福を授けます。」 ぱぁっと光り輝き、俺はとっさに目を瞑った。 しばらくしてそうっと目を開けると、タカさんたちも照子さんたちもヤタたちも消えていた。 張られていた結界もなくなり、周囲の音も戻ってきていた。
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