最終編 照子ちゃんの場合

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照子さんのうっかりな福の授けっぷりに、膝から久々に力が抜けた。 思わず、よろよろとカウンターに手をつく。 買い出しも出来ず、テレビやDVDプレーヤーを用意して小上がり貸しきって、この騒動の収束に一役買ったような気がしていたのに。 来週はもう新年。 「だ、大丈夫か、泉実!」 俺の脱力ぶりに、ミハイさんが慌てて立ち上がって支えに来た。 や、大丈夫、座り込んでいるわけじゃない。 「はは・・・すいません、ミハイさん。俺としては、なかなかな騒動だったもんで。」 まさかの天照大神様との遭遇から今まで、知らず知らずのうちに緊張していたんだなあと反省。 それと、ちゃんと代金をもらっておきながら、福って言葉につい期待したことも反省。 うん、今年いっぱいでも、店とまりちゃんに福があるならいいじゃないか。 特にまりちゃんは、一緒にダンスに付き合ってくれたわけだし。 あとはこの期間限定なけなしの福を、祓ってくれるなよ、吸血鬼。
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