最終編 照子ちゃんの場合

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何のためにって、うちでワイン消費してくれるためじゃないのか。 ミハイさん、まさか高天原に抗議に行くとか言い出すんじゃあ・・・ 「だ、ダメですからね、ミハイさん。」 西洋の妖怪が、日本の神様の故郷に殴り込みとか、絶対にダメだからな! しかも、原因がこの店とかってことになったら、今度こそ高天原から睨まれる! 「何の遠慮がある。おまえと私の仲ではないか。」 店主と客の仲だ、アマゾン川のごとき長くて幅広い遠慮があるぞ。 「最新式のテレビとプレーヤーくらい、いくらでも買ってやる!」 そっちかー! 「いえ、結構です。そのうち、もとに戻してもらいますから。」 まだ使えるだろ、もったいない。 「いや、常々思っていたのだ。古きものを大事にするおまえの心根に何ら不満はないが、もっと贅沢な暮らしをさせてやるのも男の甲斐性!何のための私の財力であることか!」 いや、それ、俺のためじゃないから。 そんなに金を使いたかったら、もっと有益なことに使え。 でもって、日本の経済を潤してくれ。 あと、おまえの甲斐性の使いどころは要再検討、しかも大至急。
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