最終編 照子ちゃんの場合

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その後、御守りが機能していないことに気づいたタカさんが、大慌てで駆けつけてきて封印を解いてくれたときには、俺は今夜店を開けておく気力をごっそりなくしていた。 「いやあ、すまんすまん。照子ちゃん、天然でなあ。」 箱入り娘みたいなもんだと言われ、悪気はないんだ仕方ないと自分に言い聞かせる。 御守りより何より、まりちゃんのことだけは言っておかないと! 「まりちゃんの件だけは、許可しませんからね!」 そこだけは、しっかり言っといてくださいと、タカさんに頼む。 「まったく困ったもんだ、貴様等にも。繊細な泉実が消耗しておるではないか!」 お・ま・え・が・言・う・な 一番俺の気力も運もごっそり削いでいくのはおまえだ、吸血鬼。 だというのに、いざというときに頼りになるのもこの人なので、もう、どうしてくれようか、ちくしょう。 俺の心境を汲み取ってくれたタカさんが、こいつの分まで謝っておくと言って、不憫がってくれた。
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