最終編 照子ちゃんの場合

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ちなみに。 翌日、まりちゃんのダンス情報に華原さんがありとあらゆる記録媒体を持参し、どうやっても映像に残せない座敷わらしの特性に血を吐きそうなほど悶絶し悲嘆にくれながら、「踊って!まりちゃん!お姉さんの心の録画機能に焼き付けておくから!」とアンコールしまくってくれた。 こいつから小娘の出演料をぼったくれ!と言うミハイさんだが、一族同士なんだから、おまえがどうにかしろ。 小上がりにかぶりつき状態で、腰を回すまりちゃんの姿にはあはあしているのはおまえんとこの仲間だろうが。 もちろん、来店した珠美さんと木戸は、その姿にドン引きしたし、琴子さんは「およしよ、華原さん。仮にも大病院の院長先生をしているんだから、あんたの社会的地位に影響しかねない姿を晒しちゃあいけないよ。」と窘めてくれた。 「それにしても、大変だったのねー、泉実ちゃん。」 珠美さんが刺身を口に運びながら、昨日の話に同情を寄せてくれた。 「神様って偉いのに頭悪いのかなー。」 おまえに言われたくないと思うぞ、木戸。 「案ずるな、泉実。この国の神よりも頼れるこの私が!常に傍らにいるのだから!」 閉店時間になったらいなくていい、帰ってください、ミハイさん。 そんなこんなな通常営業で、今年も終わろうとしている。
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