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それから、外国の投資家だというオズワルド・ミハイさん。
外見はハンサムな大金持ちの外国人は、実は吸血鬼。
高慢な物言いで、俺の店を貶し、俺のこともついでに見くびり、木戸と仲が非常に悪いとんでもない客。
売り言葉に買い言葉で、木戸に対抗して肉を食べ、拒絶反応でぶっ倒れるという事件を店で起こしてくれた。
しかも、介抱した俺に、こともあろうに術をかけようとした。
ありがたいことに、その術に俺がまったくかからなかったわけだが。
そのことをどう思ったのか、それまでの態度を180度変えて、妙になついてきた。
さらに、どこをどう勘違いしたのか、はたまた人間には理解しがたい思考回路なのか(後日、人間の常識があまりにないと判明)、求婚までしてくる始末。
もちろん、俺にそんな気はない、微塵も。
なのに、ミハイさんをいまだに客として迎えている理由はただ一つ。
上客だからだ。
血液以外に口にできるものがフルボディの赤ワインだってことで、来店するたびに高いものを注文して空けていってくれる。
ようするに、俺は店の黒字のために吸血鬼も受け入れたってことだな。
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