2 タカさんの場合

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何がお客さんたちを不審がらせたのか、まったく心当たりがない。 いつも通りですよと答えて、酒と料理を出していたら、お客さんたちもそれ以上は追求してこなかった。 気のせいだったのかもなあ。 しかし、三人同時に気のせいってのも変だし。 翌日、買い出ししながらふとマッサージ店の前で足を止めた。 おおう・・・ 何だか今日は混んでいるぞ。 昨日、道案内して男の人を案内したときにはなかった混みようで、ドアが半分開いてしまっている。 奥さんとおぼしき人が、「すみません!すみません!ご予約をいただいてもよろしいでしょうか!」と焦った声でお客さんたちにお願いしていた。 クイックマッサージと言えど、二人で切り盛りしているから、大勢はさばききれないもんなあ。 やはり評判通り腕がいい人たちなんだ。 俺もそのうち定休日に利用しに来てみるか。 そんな風に考えながら、俺は店に戻って、開店準備を進めた。 付きだしは、薄切り蓮根とツナの辛子マヨネーズ和え。
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