2 タカさんの場合

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夕べは三人一緒に来たから、今夜は逆に誰も来ないかもしれない。 常連さんと言っても、毎晩てわけにはいかないもんなあ。 ああ、新規のお客さんがほしい。 できたら、人間の。 そう言えば、やはり来なかったな、あの髭の人。 昨日会ったばかりで、いきなりその日のうちには来ないかもしれないが。 遠くからきているなら、この店に来るためだけに夜遅く出てくるなんてことはしないだろうし。 やはり社交辞令ってもんだったか。 俺は、ため息をつきながら、外に出て暖簾をかけた。 すると、意外なことにミハイさん、珠美さん、木戸が次々に来店。 珍しいな、ここまで連日三人揃ってなのは。 珠美さんと木戸にはビールと付きだし、ミハイさんにはワインを出しながらそう言ってみると。 「揃ってなどと言われると不愉快である!」 「だって、昨日の泉実ちゃん、何かいつもと違ってたんですもの。気になっちゃってー。」 「よかった、今夜はいつもの泉実さんだ。それと、こいつはいつも以上にムカつくよな。」 「駄犬が無駄吠えしておる。」 威嚇し合うんじゃない、吸血鬼と狼男。
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