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その途端、男の目が女性を捕らえた。
「ヴァギャギャァァァ……!」
男性は聞いたことのない奇声を上げて、女性の右腕に噛みついた。
店内が一気にざわめいた。
女性は悲鳴を上げて腕に噛みつく男の顔をもう片方の手で遠ざけようとするけれど、全然離れる気配はない。服の上から噛まれているのに、噛む力が強くて大きな悲鳴が出る。
痛みで涙を流しながら叫んでいると、店内にいた男性五人が噛みつく男性の身体を捕まえて女性から引き離そうとした。
しかし、その身体はびくともしない。
それどころか大の男5人はたった一人のイカれた男性に跳ねのけられてしまった。
テーブルにぶつかって食器が床に落ちる。椅子が倒れて客たちは逃げ場を探す。
まだ噛みつかれたままの女性は悲鳴を上げながらテーブルの上を探る。
見つけたのは先ほどまで使っていた箸だった。
それを男の身体に突き刺す。何度刺しても男は噛みつくのをやめない。
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