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僕が46歳になったある日、全日本バレーボール協会から呼び出された。
何の話しかと思いながら全日本バレーボール協会を訪問すると、受付の女性に応接室に案内された。
応接室で待っていると、そこに全日本バレーボール協会会長が姿を現した。
会長は、思ったよりも気さくな感じで僕に話しかけてくれた。
最初は、最近のVリーグに関して意見を聞かれたので、集客率を上げるために握手会やサイン会、グッズの販売などもやってみてはどうかという話をした。
すると会長は、僕の話にとても興味を持ってくれたようで、僕の話しを真剣に聞いてくれているようだった。
Vリーグの話が尽きると、会長は本題の話を始めた。
「実は、若林さんにお越しいただいたのは、若林さんに重要なお願いがあるからです。」
僕は、まったく想像がつかなくて、何だろうと思いながら話を聞いた。
「実は、全日本女子バレーボールチームの監督をお願いしたいのです。」
僕は、想定外の話に驚きを隠せなかった。
「私に務まるでしょうか?」
思わず発言した僕の言葉に、会長は僕を説得するかのように話を続けた。
「Vリーグでの若林さんの監督としての実績を見て、私は全日本女子バレーボールチームの監督は若林さんしかいないと思っています。
ぜひ、お願いできないでしょうか?」
僕は、責任がとても重くて少し悩んだけれど、ここは思い切ってこの話を受けようと決めた。
「私の力で、どこまでできるかわかりませんが、全力で頑張ります。
ただし、条件があります。」
「条件?」
会長が不思議そうな表情を見せたので、僕は訴えるように条件を言った。
「次回のオリンピックが終わるまで、どんなことがあっても私を監督から解任しないようにお願いします。
私はオリンピックで金メダルを取るために、全力を尽くします。」
会長は笑顔になって、
「わかりました。」
と言ってくれて、会長が僕に握手を求めてきたので、僕は会長と固い握手を交わした。
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