オリンピックの夢

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全日本チームの監督に就任した僕は、まずは選手たちに足りないものは何かを見極めたいと考えた。 就任したばかりの頃の僕は、練習に口を出さずに、選手たちの動きを見守った。 やはり全日本チームに選抜された選手たちは、レベルが高いと感じていた。 でも、このチームを世界のレベルに引き上げるためには何をしたらいいのか、なかなか考えはまとまらなかった。 Vリーグの場合には、1年で結果を出さなければならないけれど、僕はオリンピックだけを見据えて、4年計画でチームを作り上げようと考えた。 全日本チームは、外国選手に比べて平均身長が低い。 でもこれは、どうにもできないことだ。 この体力的な差を克服するために、僕は最初の1年は、体作りから始めようと考えた。 特に下半身を鍛え上げて、ジャンプ力をつけたり、安定したレシーブができるようにしたいと考えた。 2年目は、サーブ、レシーブ、トス、アタックといった、それぞれ個人の技術を磨きあげようと考えた。 僕は、セッター、ウイングスパイカー、ミドルブロッカー、リベロといった役割を選手に固定せずに、誰でもこなせるようにしたいと考えた。 3年目は、様々な攻撃プレーや連携プレーの強化をしようと考えた。 これは、日本チームの得意とするところだ。 移動攻撃(ブロード攻撃)、オープン攻撃、クイック攻撃、時間差攻撃、シンクロ攻撃、フェイント攻撃、パイプ攻撃など、試合の状況に応じて使い分けできるようにしたいと考えた。 これは、選手同士のタイミングが合わないと、できないプレーになる。 4年目は、選手および選手間の判断力を身に付ける練習をしたいと考えた。 バレーの場合には、状況判断が大切で、2秒から3秒の間にブロックやアタックの判断を下さなければならない。 特にアタックの時は、セッターがどの選手を使って、どのようにアタックを打たせるのか、瞬時に判断を下す必要がある。 このような構想を描いて、それをさらに毎日の練習メニューに細かく分解し、計画的に練習メニューをこなしていくような方針を立てた。
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