屋上にて

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しかし呆れたのは僕だけではなかった。その発言を聞くや否や、先輩はキャンパスに(つば)が飛ぶほどのため息を吐く。 「君も分からないやつだなぁ」  背中越しではなく、ひそめた眉ごと顔をこちらに突き出す先輩。明らかに不機嫌だと言いたげなその眉を今度はいたずらに釣り上げて、ふてくされたようにそっぽを向いた。 「君のような奴は1,2週間空を見上げていつか風に乗ってくる食料に胸を(おど)らせる経験をしてみればいい。私の言っていることがよく理解できるよ」 「風に乗ってくる? 食料?」  意味が分からず空を見上げる。意味も分からず空を見上げる。 そこには空が広がっている。自分の感想は以上だ。
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