第2章:竜の王子と壊れた天使

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第2章:竜の王子と壊れた天使

~第2章~ 天使を非常に憎む悪魔との取引には、彼らを恐れない度胸、自らを守る力、適 切な取引ができる繊細な注意力が必要となる。なぜなら、悪魔は商人の取引と は異なり、渡すモノですら手放すのを嫌がるためだ。そのため、悪魔の取引で 苦労して何かを手に入れても、大事なモノは悪魔に握られたままの場合が多 い。鳥なら翼、王国なら王族、ヒトでいえば心がそれに該当するだろう。  心を奪われたヒトも知性と記憶は持ち合わせている。けれども決して自分の 意志で動くことはないだろう。唯一、自分の望むことを繰り返すことを除いて は…だが。 (トーラス100年の旅 第2章)  特別謁見は終わり、閣僚達は重苦しい空気を抱えたままそれぞれの執務室へ と戻っていく。国王として対応した父も寝室に居る母の所で今日のいきさつを 話すようだ。同行しようとしたら父と先生から『お友達の所に戻りなさい。彼 らのことが心配だろう?』と、やんわりと席を外すように頼まれた。僕にも秘 密の企みを、何か思いついたようだな。  あの悪魔はまだこの国に居座るつもりなのだろうか? いや、あの女の子も これからどうなるのだろう。疑問を抱えつつ、僕の部屋へと戻ったのだが… …。     
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