7人が本棚に入れています
本棚に追加
/466ページ
びたくなってきた。おまけにこの悪魔は僕のことを相当の好き者か何かと思っ
ているな。そんな僕の視線には全く気づかず、悪魔は嬉しそうな表情で契約書
を先生に差し出してきた。何も言わずに先生は一読してサインしているけれど
大丈夫なのかな。
「さぁ、私はこれで失礼いたしますね」
サインした契約書を受け取ると、悪魔は満足そうな表情で立ち上がった。もう
ここには用はないとばかりに、形式だけの挨拶を終えると僕らに背を向けて入
り口へ歩き出す、
「おや、引き取りの手続き後のアフターケアなどはよろしいので?」
「いりませんよ、適当にやっちゃってください」
満足げに話す悪魔に、僕らは何も言わなかった。
こっちとしたは体の良い厄介払い……いやこの場合は悪魔払いか。
もう二度と来るなよ。またあのレベルの変装でやってきたら今度こそ我慢でき
ずに爆笑してしまいそうだ。
「ああ、そうそう言い忘れていました」
もうこれで終わりかと思ったそのとき、扉から退室しようとしていた悪魔が、
急に振り返った。表面上は笑顔だが、口元が先ほどより歪んで見える。
「また何かお望みとあらば、いつでも赴きますよ。遠慮なくお呼び下さい。こ
の私を……ね」
「そうか……」
肯定も否定もしない父の返答に、肩をすくめてレイレイは立ち去った。平静を
最初のコメントを投稿しよう!