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「なんだ、随分苦労の絶えない王子だなぁ……何があったの?」
せんべいをボリボリと囓りながら、イシマちゃんが尋ねる。こら、床にせんべ
いの粉をまたまき散らすな。
「うん、謁見の間に変な悪魔が来た」
軽く言ったつもりだったが、その瞬間友人一同の時間が停止した。ルヒエルや
マナすらカード対戦を中断して僕へと顔を向けている。
「ね、ねぇ……イグウィル……?」
「なんだ、ナナまでしおらしい声になって、どうしたんだ?」
「その悪魔ってどんな奴だった? 特徴とか覚えてる?」
「そうだねぇ。なんていうか外見だけはいかにも悪魔って感じだったよ。バレ
バレの商人の変装をしていたけれど悪魔らしく身体は真っ黒で髪はツートンカ
ラー。あ、あと、偽名だろうけれど、自称レイレイ……」
「「「「「ぎゃあ!」」」」」
悪魔の名前を口にした瞬間、友人みんなが四方からこたつの中へと潜り込む。
おい、目がうつろだったファーザスまでもが血相変えて潜り込んでるってどう
いうことだ?
「おいおい、そんなに危険な奴だったのか?あの悪魔って?」
「当たり前よ。相手は悪魔なのよ!あ・く・ま!イグウィルあなた本当に大丈
夫だったの? 何かされなかった?」
こたつ中からナナの声が響いてくる。どれだけ怖いんだその悪魔って。
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