第2章:竜の王子と壊れた天使

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あの特別謁見で笑いを必死でこらえたガマン大会の努力を返せ、あの悪魔め っ。 「私は運が良かったと思いますよ。本来だったら周囲もろとも巻き込んで被害 を与えるのが悪魔のスタイルですから。余程彼女を不幸な目に遭わせることだ けにご執着のようですね」 「執着って、もしかして悪魔の目的ってまさかのそれ!?」 「それです」 先生がきっぱりと言い切る。 「その証拠として、レイレイ君が持ってきた贈り物、それと彼女の首輪には盗 撮映像用の記録水晶を密かに忍ばされていました。彼女の不幸な映像記録を作 っていたのでしょう。ルヒエル君のいう残虐な悪魔という認識は間違いではあ りませんね」 先生の言葉を聞いて、憤りの感情の中に安堵の気持ちが入り交じった。彼女は 悪魔の手先じゃなかったんだな……。 「そしてこの目的が、②、あの奴隷の子のことに関わってくるのですが……」 「あれ……?」 不意に身体が何かに包まれるような違和感を感じとった、まるで少し分厚くし たシャボン玉に入り込んだような、そんな感覚だろうか。よくよく目をこらし てみると、もう目の前までたどり着いた先生の部屋を包み込むように、不自然 に空気が固まっている。 「あれ、これって僕の部屋にある結界に似ているような……?」     
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