第2章:竜の王子と壊れた天使

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「ええ、王子の部屋で使っていた結界に更に手を加えて、悪魔だけでなく関連 魔法すら跳ね返すように仕掛けました。折角彼女を保護できたのに、悪魔に再 びテイクアウトされる訳にはいきませんから」 先生はそういうと、扉を開けて僕を中に招き入れる。  先生の部屋も、僕と同じくらいの広さを持っていた。シミのない白地の壁に 沿うように本棚や事務机が並んでおり、奥のキャビネットには半永久的に使え る筆記用具と印刷機が整然と設置されている。初めて見るヒトは一目見て「さ すがは賢者と言えるべき部屋だ」という印象を持つだろう。  ただしここで騙されてはいけない。実はここの整理整頓は、先生はまったく やっていないのだ。先生は片付けがとても苦手で、そのままにしていると部屋 が散らかり放題になってしまうため、時々屋内の訓練と称して親衛隊に整理を して貰っていた。この先生の唯一の欠点だろう。 「いやはや、一昨日に兵士のみなさんがきちんと整理してくれたばかりで助か りましたよ。そうでもしなければあの子のための予備のベッドを私の部屋にお けなかったでしょうからね」 「そう思うなら、自分で整理整頓を心がけて下さい、先生」 先生に注意はするけれど、この散らかし属性はそうそう変わらないだろう。散     
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