第1部 Boy meets boys [現在]

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度の強い黒縁メガネをかけ、量が多めの前髪が重く額に落ちている。よれよれのグレーのセーターに、サイズの合わないデニム。 鏡の中には、背中を丸めるようにして椅子に座る僕がいた。 「静くん~~! お姉ちゃんの”弟改造大作戦”が出来上がったよー!」 愛らしい少女が、ノートを胸に抱えながら僕の部屋へ入ってくる。 ――このシーンを、僕は知っている。 既視感に目まいがしそうになる。 にこにこと笑いかけてくる姉は、まだ高校生だ。 僕の腕を掴みながら激しく泣き崩れる大学生の姉の姿が、フラッシュバックのように脳裏をよぎる。 あれは、夢なのか!? 「静くん、顔色、悪いね」 心配そうに僕の額に手を当てる姉。「熱はなさそうだけど……」 胸が苦しくて苦しくて、僕は思わず姉の左腕を強く掴む。 「……どうしたの、静くん?」 いや、あれは、夢ではない。 紛れもなく、現実(リアル)だった。 どんな力が働いてるのか想像もできないけれど、僕は時を遡り、2年半前に戻ってきたのだ。 あの悲劇の運命から逃れるチャンスを与えられて。 まだ震えの残る手のひらをきつく握り締めながら、僕は、強く心に誓う。 今度こそ僕は道を誤らない。 父さんも母さんも姉さんも、必ず、僕が守ってみせる……。 新しい運命の輪が回り始めた。
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