第2部 Another Heaven Ⅰ [過去]

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光を受けキラキラと輝く瞳に吸い込まれそうだ。 「あの……西城様……」 慌てて上着を脱ごうとする彼を止める。 「風邪を引くといけないから、それを着ていなさい。……君の名前を教えてくれないか」 「……山崎、静流、です……」 その名を、心の中で呟く。 ――山崎静流。 「僕の親衛隊員ではないよね?」 「はい。乾様の隊です」 「……蒼の親衛隊員なんだね……」 わかっていたはずなのに、胸がキリキリと痛む。 そう、彼は蒼のものだ。それはどうしても覆すことはできない。この学園にいる限り、否、この世界に生きる限り、僕たちにルールを破ることは許されない。 「夜遅くに、こんな場所に君ひとりでいるのは危ないから、しばらく僕も一緒にいるよ」 せめて、今だけ。 蒼ではなく、僕のそばにいてほしい。 「静流って呼んでもいいかい?」 「はい!」 入学したばかりで、おそらくは親衛隊隊則さえ理解していない彼が、無邪気に微笑む。 その笑顔に心が満たされる。 汚れない優しい笑顔。――この笑顔を守るのが僕だったらと、そう願わずにはいられない。 でも、彼は蒼のものなのだ。 「諜報部の仕事はきついだろう?」 彼をうながして、近くのベンチに腰掛ける。 「えっと……実は、今日初めて一人での任務なんです」     
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