第2部 Another Heaven Ⅰ [過去]

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「僕は西城様とこうしてお話できて、本当に幸せです。さっきまで疲れ果てていたんですけど、西城様に優しくしていただけて、元気いっぱいになりました!」 僕を見つめる瞳が、慈愛に満ちている。 「西城様のお立場は、僕には想像もできないくらい大変でいらっしゃると思います。たくさんの人の上に立つっていうのは、本当につらい事もたくさんあると思います。……僕の父は小さな会社の社長なんですけど、小さい頃から苦労している父の背中を見てきました。上に立つ人は、人の何倍もつらい思いをしている。……でも、そういう方だからこそ、皆ついて行きたいと思うんです。今夜、こうしてお話させていただいて、西城様は僕にとって憧れの方になりました」 輝くような笑顔を向けられて、僕の中の醜い感情が浄化されていくようだ。 「静流といると、なんだか心が温かくなるよ」 ぽつりと呟くと、静流が嬉しそうに笑う。 「僕も、西城様とお話していると、すごく幸せな気持ちになります!」 愛しくて、切なくて、心が千切れそうだ。 ずっと、こうしていられたら――。 突然、静流のトランシーバーが反応する。 「……山崎くん、聞こえるか?……」 ノイズ音に声が混じる。 「あっ、はい! 聞こえます!」 「……本日の任務は終了だ……」 「はい、了解しました!」 トランシーバーを切って、静流が立ち上がる。     
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