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「僕は西城様とこうしてお話できて、本当に幸せです。さっきまで疲れ果てていたんですけど、西城様に優しくしていただけて、元気いっぱいになりました!」
僕を見つめる瞳が、慈愛に満ちている。
「西城様のお立場は、僕には想像もできないくらい大変でいらっしゃると思います。たくさんの人の上に立つっていうのは、本当につらい事もたくさんあると思います。……僕の父は小さな会社の社長なんですけど、小さい頃から苦労している父の背中を見てきました。上に立つ人は、人の何倍もつらい思いをしている。……でも、そういう方だからこそ、皆ついて行きたいと思うんです。今夜、こうしてお話させていただいて、西城様は僕にとって憧れの方になりました」
輝くような笑顔を向けられて、僕の中の醜い感情が浄化されていくようだ。
「静流といると、なんだか心が温かくなるよ」
ぽつりと呟くと、静流が嬉しそうに笑う。
「僕も、西城様とお話していると、すごく幸せな気持ちになります!」
愛しくて、切なくて、心が千切れそうだ。
ずっと、こうしていられたら――。
突然、静流のトランシーバーが反応する。
「……山崎くん、聞こえるか?……」
ノイズ音に声が混じる。
「あっ、はい! 聞こえます!」
「……本日の任務は終了だ……」
「はい、了解しました!」
トランシーバーを切って、静流が立ち上がる。
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