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その朱に染まった可愛いらしい顔で、裸とか言わないでくれ。
「そろそろ行かないと遅れるぞ」
俺は食べ終わった食器を片付けながら、席を立つ。
これ以上この話題を続けてたら、変な気分になってきそうだ。
海聖学園は、幼稚舎と初等部は共学だが、中等部からは男子校、女子校へと分かれる。
そして中等部では、第二次成長期に差し掛かり、性的欲求を身の回りにいる同性へと向ける男子生徒が少なからず出てくる。学園自体が性的嗜好におおらかな事も有り、高等部へ進学して全寮制になる事で、その数は更に加速する。
だが俺は、同性同士の恋愛には全く興味が無かった。中等部から親衛隊持ちだった俺は、そういう意味で告白される事も多かったが、恋愛対象は女性に限られていたし、何度か女子とつき合った経験もある。
(まぁ、確かに、静流はそこらへんの女の子より、ずっと可愛いけどな……)
そう思った自分に気づき、慌ててその考えを否定する。
いや、静流がいくら可愛らしい容貌をしてるからって、女の子とは比べものにならない。元彼女の柔らかい曲線や魅惑的な香りを思い出しながら、そう自分に言い聞かせる。
「とにかく、今日の水泳は休め」
「……うん」
背後から静流が小さく答える。
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