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この学園に入った事で、むしろその容姿が武器になりうると知ったのだが、今の僕にそんな魅力は必要ない。今度こそ少しでも男らしくなれるように、部活やジムで身体を鍛えようと思う。
「こっちの個室がお前の部屋で、反対が俺の部屋。個室以外は全部共用になるから、掃除の順番とか後で決めよう」
そう言えば最初の頃はこんな感じだったよなぁ、と懐かしく思い出す。
伸は一見、無口で取っ付きにくいように見えるし、どちらかというと友達とつるむのを嫌って独りでいるが、自分の助けが必要だと判断すると、こんな風にちゃんと面倒を見てくれる。
「どうかしたか?」
急に黙り込んだ僕をいぶかるように問い掛けてくる。
「この学校は何から何まで豪華だなぁ、と思って」
「金持ちのボンボンばっかりで世間離れしすぎてるよな」
室内は、学生寮というよりおしゃれなシティホテルのようだ。
「おまえ、下の名前は?」
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