第1部 Boy meets boys [現在]

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「静流。静かに流れるって書いて、しずるって読むんだ」 「静流、か。……なんかお前のイメージにぴったりだな」 「そう?」 「静流って呼んでいいか?」 「もちろんだよ。僕も室井君の事、伸って呼ばせてもらうね」 目の前のイケメンに向かって、僕はにっこりと微笑みかける。 以前の僕は、初対面の伸とこんなふうに気軽に話す事なんてできなかった。でも今は、とても自然に彼と会話を交わす事ができる。 そんな変化が、僕に確かな勇気をくれる。 僕は変われる。 そして、これから訪れる未来も、きっと変えることができるはずだ。 ********** 翌朝、僕と伸は入学式に備えて、早めに寮を出た。 伸は中等部からの持ち上がり組なので、前年度のクラスでいったん集合してから入学式に向かうらしい。僕とあと二人いる外部編入組の三名は、直接、講堂へ集合だ。 「おまえ、なんか迷いそうだよな」 以前も聞いたセリフに、僕は小さく苦笑する。 「僕って、そんなに頼りなさそうかな?」 「あぁ」 「即答しないでよ」 「でも、実際、方向音痴だろ?」     
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