1188人が本棚に入れています
本棚に追加
彼らはかつて見たどんな人物よりも遥かに端整で、目を見張るほどに凛々しかった。
後に、この学園の生徒会会長と副会長になる、乾 蒼と西城優斗。
漆黒の髪に冴え冴えとした切れ長の双眸、180㎝を超える長身で引き締まった体躯の乾様。
片や、北欧の血筋を引く西城様は、輝くような金髪に引き込まれるような淡い薄茶の瞳で、わずかに背丈は乾様より低めだが、モデル顔負けの均整の取れた姿態は見惚れるほどだ。
彼らはまるで天才画家が産み落とした一対の名画のように気高く麗しく、現実離れしたオーラを纏っていて、僕は言葉も無く呆然としたまま彼らを見つめる。
「入学式に行くつもりならついて来い」
そう一言だけ告げて乾様が歩き出すと、西城様も僕へ一瞥を投げた後、悠然と歩き出す。
半ば駆け足になりながらも僕は二人の後を追いかけて、無事、外部入学生の入り口受付にたどり着くことができたのだった……。
◇◇◇◇◇◇
思い出すと、甘く懐かしい感情と同時に、うずくような悔恨が湧き上がる。
あれが、僕の初恋だった。
出会った相手が誰なのかも知らずに、僕は乾様に恋をしてしまった。
罪深い執着にがんじがらめにされて、自分の心と体を貶めてもいいと思うほどに。
最初のコメントを投稿しよう!