1188人が本棚に入れています
本棚に追加
親衛隊を持つ生徒には、学園内の重要なポジションに付く責務が課せられる。
生徒会四役、風紀委員長、副委員長、寮監、各クラブ活動の部長――そのどれかの役に就かなければならないという暗黙のルールがあるのだ。
「そんなに重く考える必要はないんだぞ。文化部の部長職なら名前だけ貸してるやつもいるくらいだ」
「それでも、やっぱり嫌なんだ……」
本当に嫌なのは、重職に就くことではない。
親衛隊の守護対象者になると、乾様とお会いする機会が圧倒的に増えてしまう。僕は、できる限り乾様との接点を持ちたくない。
「親衛隊の隊員も、結構大変だぞ?」
心配そうに言う伸を見て、本当に優しいなぁと思う。
「うん、わかってる。僕もいろいろ調べたんだよ。大丈夫、きっとうまくやるから」
伸に安心してもらえるように、僕は精一杯の笑顔で答える。
「ま、乾の親衛隊を選ばなかったのは褒めてやる」
「何? その上から目線な感じ」
伸がニヤリと片頬だけで笑う。
「ちゃんと調べたんだな、と思ってさ」
伸が乾様を嫌うのは、彼が親衛隊の隊員と肉体関係を持つことがあるからだ。
最初のコメントを投稿しよう!