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普通に考えれば最低の行為なのかもしれないが、彼を恋い慕う者にしてみれば、束の間の幸せにすぎないとしても、それは夢のような幸運に違いないのだ。
逆に言えば、乾様は隊内で認められたごく一部の侍従隊員以外には手を出されないし、本物の恋人も持たれないから、隊員たちはむしろ彼のそのクールな気質にも惚れ込んでいる。
「西城様の親衛隊は隊則は厳しいみたいだけど、特にトラブルは無さそうだよね」
「あいつの場合は、そもそも親衛隊を相手にしてない、って感じだけどな」
確かに、僕もそう思う。
乾様と西城様は幼なじみで仲が良く、学校の成績も人気も甲乙付けがたいのだが、性格は真逆で、親衛隊への接し方についても、西城様は常に一線を引いている感じがする。
以前、僕が乾様から目を掛けていただいていた頃、時々、西城様と食事を同席させていただく事があったが、そんな時でも、彼が親衛隊員はもちろん、恋人らしき人と一緒にいるのを一度も見たことがなかった。
ひとたび学園を出れば、乾様も西城様も、どんな美女でも思いのままに手に入れられる方達なのだ。
興味が無いのに、わざわざ同性を抱く必要は無い。
「伸の親衛隊は、和気あいあいとしてて楽しそうだよね。僕も伸の所に入りたかったなぁ」
「やめとけ。俺は静流に"室井様"とか呼ばれたくない」
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