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「もちろんです。会談の機会をいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます」
僕が今夜の夜会に参加した最大の目的は、守護対象者達と繋がる糸口を掴むためだった。この学園を変えていこうと思うなら、一人でも多くの守護対象者達から協力を得る必要がある。だが、まさか守護対象者のヒエラルキーの中でもトップクラスに位置する更科様の方から、こんな提案をもらえるとは思ってもいなかった。
驚きと喜びで頬が上気するのがわかる。
「……なんというか、君はとても不思議な人ですね……。我々の常識を覆すような事をあっさり成し遂げたかと思うと、幼子のように無防備な顔を見せる。……なるほど、西城様が山崎君に目を留められたお気持ちがわかる気がします。そばにいると、君の内にある"真実"に触れてみたくなる――」
――次の瞬間。
僕の顔へと伸びてきた更科様の手を、突然、横から現れた大きな影が遮った。
鋼のように引き締まった体躯に視界を塞がれて、驚きに息が止まる。
「この場の全員が注視している状況下で、誤解を受けるような真似はかんばしくないでしょう」
数センチしか離れていない目の前に、僕を守るように立つ懐かしい背中。
「乾様……」
驚いたような更科様の声が聞こえる。
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