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「山崎君相手なら、俺も交際宣言してもいいな」
「何をおっしゃってるんですか!?」
「だって、山崎君ってホント可愛いんじゃん。俺たちの周りには全くいないタイプだよ。裏が無いっていうか、……俺たちの生きてる世界とは違う所から来たんだろうなぁ、って感じでさ」
「そんな事ないです。僕はそんなふうに言っていただけるような純粋な人間じゃないです……」
「山崎君はそう言うけど、やっぱり君は俺たちとは違うと思うよ」
眼前に広がる夜景を見ながら、そう呟く。
「俺たちってさ、小さい頃から『この世界で一番重要なのは、身分だ。地位だ。金だ。権力だ』って、そんなふうに教わってきたわけ。そのために知識を得て、外見を磨いて、ネットワークを作って、常にライバル達と競争し合ってきたんだよね。今の地位を失わないように、一族の名前を汚さないように、って言われ続けながら。……でも、山崎君を見てると、何か違うんだよね」
視線を僕に移すと、羽賀さんが真剣な表情を見せる。
「山崎君にとって一番大切なものって何?」
僕にとって一番大切なもの。それは――。
「家族と、……僕を支えてくれる友人や親衛隊の方々です」
今この世界で、僕は生まれて初めて、心から信頼できる友人や先輩、仲間達を得ることができた。
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