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そして、彼らの存在が、どれほど自分に勇気と力を与えてくれるのかを知った。
「本心からそんなふうに言える君が、羨ましいよ……」
家のため会社のための婚姻を余儀なくされる上流階級では、愛の存在しない家族関係の中、多くの子供達は親との触れ合いさえないまま、乳母や召使に育てられる。そして、全ての人間関係の背後に、常に利害や相克、互いの力関係といったものが関与し続けるのだ。
この学園の生徒達は、いろんな気持ちを押し込めて、あきらめて、この箱庭の中で生きている。
「さて、そろそろ会場に戻りますか。山崎君と話したいやつらがたくさんいるだろうから、あんまり独占してるとまずいだろうし」
明るい口調に戻って、そう言う。
「僕こそ、羽賀先輩を独占してたら、いろんな方から怒られます」
「面倒くさいけど、顔出ししに行こうか」
「はい」
室内へ戻ると、西城様の周りに人だかりが出来ている。
「王子様は今夜も大人気だねぇ」
羽賀さんの言葉どおり、正装に身を包んだ西城様の輝くような麗しさには、王子という言葉が一番似合うと思う。
「あまり夜会には出られない方ですから」
「よく知ってるね」
不思議そうに言われて、サッと血の気が引く。
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