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[33. 夜会 4]
「そのまま動かないで下さい!」
起き上がろうとする僕を、駆けつけた長友隊長が制止する。
「倒れた時に頭を打たれていますので、そのまま横になっていて下さい」
僕を守ろうと周りを取り囲んだ警護隊員達によって、視界が遮断される。
「乾様が!」
「大丈夫です。すぐに看護師と救急隊員が来ます」
その言葉に応じるかのように、警護隊員の間を抜けて看護師らしい青年が現れる。
「脳震盪を起こしている可能性があります。動かず、じっとしていて下さい」
僕の横に膝を付き、慣れた手つきで瞳に小さなライトを当て、瞳孔の様子を確認する。
「僕はなんともありません。それより、乾様が……!」
驚愕と恐怖で騒然となっている会場内では、各隊の警護隊員達が指示を出す声が飛び交っている。
「乾様への応急処置は別の看護師が行っています。救急隊員も数分で到着しますので、ご安心下さい」
高貴な身分の子弟達が通うこの学園では、敷地内に医療施設があるのはもちろん、万一の事故に備えた緊急用の人的配置や体制も整えられていて、学園内で行事が開催される時は、現場に看護師が控える事が義務化されていた。
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