第3部 Lapse of Time [現在]

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ライトを胸ポケットにしまった後、看護師が僕に問い掛ける。 「ご自分の名前はわかりますか?」 「山崎静流です」 「頭部以外に痛みがありますか?」 「いえ、ありません」 遠くから救急車のサイレンが聞こえてくる。 「起き上がれますか?」 「はい」 ゆっくりと体を起こす。 「首に痛みはありませんか?」 「ありません」 手足を軽く触診した後、もう一度横になるよう(うなが)される。 「担架で運びますので、このままじっとしていて下さい」 「乾様のご様子は……!?」 看護師の男性が困ったように僕を見やる。 「頭部を打った時は、体もそうですが、気持ちを落ち着かせる事も大切なんです。……今、確認してきますので、動かないで下さいね」 複数台のサイレン音が重なりながら大きさを増し、すぐ近くで止まった。 数秒の後、会場内に慌ただしく駆け込んでくる複数の足音が聞こえた。 警護隊員達の囲みが解かれ、代わりに四、五名の救急隊員に取り囲まれる。 「これから、ヘリにて港区の慶慈会病院へ搬送します」 責任者らしい男性の言葉に、僕は驚いて顔を上げる。 「敷地内の病院に向かうんじゃないんですか!?」 「念のため、しっかりした設備のある病院で診てもらいましょう。私も同行します」     
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