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傍に付き添っていた長友隊長が、冷静な口調でそう告げる。
「頭部を打たれているので、少なくとも数日間は様子を見なければなりません。隊員達を安心させるためにも、きちんと診察と検査をお受け下さい」
「……わかりました」
救急隊員達に抱え上げられるようにして担架へと移される。
長友さんの方へ視線を向けると、落ち着いた態度の裏で、激しい怒りを押し殺しているのが伝わってくる。
いつも僕の身を人一倍心配してくれる長友さんが、目の前で暴漢に襲われるのを目撃したのだ。犯人に対してはもちろん、事件を防げなかった己自身に対しても、怒りの矛先が向けられているに違いない。
「長友さん、僕は大丈夫です。ケガ一つ負ってません。だから、自分を責めたりしないで下さい。それから警護隊の方々にも、今回の事を気に病んだりしないように伝えて下さい」
「山崎様……」
長友さんの顔がつらそうに歪むのを見て、僕の胸も苦しくなる。
「僕がちゃんと辺りに目を配っていたら、状況は違っていたと思います。あの時、僕は注意を怠っていました。……僕を襲ったのは、西城隊の警護隊員ですよね?」
「……はい」
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