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[34. 護るべき者 1]
翌朝。
学園から知らせを受けたらしい両親と姉が病院に駆けつけてくれた。
「凄い立派な個室だね~!」
病室に入ってきた姉が、開口一番そう声を上げる。
「お見舞いに来て最初の言葉が、それ?」
「だって静くん、元気そうだから。ごめん、ごめん」
苦笑する僕に向って、姉が悪びれない笑顔を見せる。
「頭を打ったって聞いたけど、検査は受けたの?」
ベッド横に置かれた椅子に腰かけながら、母が心配そうに尋ねてくる。
「昨日の夜、CTスキャンを受けたよ。特に異常は無いって。念のため、今日の午後にMRIも撮るらしいし」
「慶慈会医科大学病院って言えば、西城グループだよな」
窓から外の景色を眺めながら、父が言う。
「うん。同級生に西城グループのご子息の方がいて、この病院に運ばれるように指示してくれたみたいなんだ。……乾系列の病院に移った方がいいかな?」
「いや、病院を選ぶのに、そんな事まで気にする必要はないよ」
父が笑って僕の方を見る。
「病院の系列まで気に掛けなきゃいけないのは、財閥幹部の関係者くらいなもんだろ」
「そっか」
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