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「静流の、親衛隊……!?」
海星聖明学園の親衛隊制度は、半世紀以上も続く伝統ある制度で、特権階級だけではなく一般人にも広く知れ渡っている。
「本来でしたら幹部全員がご挨拶に伺うべきなのですが、学期終了が近いため席を外す事ができない者も多く――」
「とんでもないです! 二、三日もすれば僕も退院できるんですし、そんな事をしていただく必要はないです」
僕の言葉に同意するように、家族全員が慌ててうなずく。
「西城様もご家族に挨拶をされたいとおっしゃっておりましたが、事後の対処に追われ学園を離れることができないと……」
「西城様っ!?」
素っ頓狂な声を上げたのは、もちろん姉さんだ。「西城様って……、もしかして、西城優斗様!?」
「はい」
北方さんの返事を聞いた母が、ヘタヘタと椅子に座り込む。
財閥直系の御曹司は世の女性達にとって憧れの的なのだが、特に乾様と西城様については、女性週刊誌で写真が掲載されたり、特集が組まれたりするほどの有名人らしい。
「まさか、この病院を紹介して下さったのは、西城本家のご子息なのか?」
父が小さな声で僕に問い掛ける。
「……うん」
絶句する家族をよそに、北方さんが再び口を開く。
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