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「本日夕方頃、室井様と川瀬隊長がこちらにいらっしゃるそうです」
「伸は、インターハイの方は大丈夫なんですか?」
「明日から本選が始まるとの事で、その前に会っておきたいとのご希望です」
「そうですか……」
大切なこの時期に心配を掛けてしまった事が申し訳なさすぎて、伸に合わせる顔がない。
「それから、乾様に関してですが――」
その名を聞いた途端、心臓を鷲掴みにされたような痛みが走る。「新宿区の鄭和大学総合病院に入院されたそうです」
「お怪我の具合は?」
「情報が完全にクローズされているようで、現在のところは詳しい状況を把握できておりませんが、今朝から進藤諜報部長が動いておりますので、夜には確認が取れるかと」
「わかりました。情報が入り次第、連絡を下さい」
「かしこまりました。……また、山崎様には退院後そのまま夏季休暇に入っていただけるよう、学校側の了承を取り付けましたので、大変ご足労をお掛けしますが、ご家族の方に山崎様のお荷物を取りに来ていただければと思うのですが」
「はいっ! もちろん、喜んで取りに行かせていただきますっ!!」
もの凄い勢いで姉が返事を返す。女子禁制である海星聖明学園の敷地内に入れるという、この滅多にないチャンスを、姉が逃すはずはない。
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