第4部 Another HeavenⅡ [過去]

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移動教室や昼のカフェテリアで、時々静流を見かけることがある。2年に上がってからはクラスも乾と一緒だから(おそらく乾が学校側に働きかけたのだろう)、いつどんな時でも、まるで半身のように乾のそばに付き従っている。 俺は守護対象者の特権を使って、折に付け静流の様子を諜報部に調べさせたが、乾の静流に対する態度は部下への寵愛というよりも恋人や配偶者に向けるそれに近いように思えた。 乾は常に静流を自分の傍らに置き、周囲の悪意から守ろうとしているようだった。 (「おまえは、あいつに騙されてる」) (「乾様はそんな方じゃない。僕は乾様を信じてる」) あの時、俺に向ってそう言い放った静流の言葉は、結局、真実だったのだろう。 乾は静流をオーバーブルームとして使う事はなかったし、静流以外の部下を抱く事も無かった。 「あと半年で、私の親衛隊長としての役目も終わりですね……」 二人しかいない親衛隊室はひっそりと静まりかえっている。 「中等部からの4年間、本当にお世話になりました」 深く頭を下げると、川瀬さんが優しい声で、 「隊員に頭を下げないで下さいと、いつも申し上げてるじゃないですか」 と言う。 「はい、すみません」 「謝罪も禁止です」 このやり取りも一体何回繰り返しただろうと、笑みが漏れる。 「アメリカへ遊びにうかがってもよろしいですか?」     
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