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「もちろんです。是非いらして下さい! そう言えば、久野さんもアメリカの大学へ進学されたんですよね。向こうで室井隊のOB会でも開きましょうか」
「それはいいプランですね!」
中等部2年の頃、川瀬さんに親衛隊を作りたいと言われ、俺は渋々それに従った。組織に入る事に対して面倒だと思う気持ちが強かったからだが、今になって振り返れば、親衛隊活動の中でかけがえのない絆を得られた事を心から感謝するしかない。
しばらくの間、心地良い沈黙が落ちる。
「そろそろ帰りましょうか」
俺の言葉に、川瀬さんが急いで席を立つ。
「はい。侍従隊員が室井様のお帰りを待っているはずですし」
「そうですね」
温かい夕食を食べれるよう、侍従隊員が毎日、食事の手配をしてくれているのだ。
室内の灯りを消し親衛隊室に鍵を掛けて外へ出ると、5月の風が心地よく頬を撫でた。
******
部屋に戻った俺は、侍従隊員が準備してくれた夕食を独り口に運ぶ。
静流と一緒に暮らしていた頃は、部屋の掃除や洗濯まで何をするのも楽しかった。俺って自活能力があるよな、なんて静流に得意げに話したこともある。
だが今は、他の守護対象者と同じように家事の全てを侍従部に一任している。侍従部が選定したプロの業者を使っているから常に快適な生活ができているし、それに対して何の不満もない。
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