第1部 Boy meets boys [現在]

7/108
前へ
/344ページ
次へ
「でも、海聖学園なんて遠い遠い異世界みたいなものだと思ってたのに、そこに静くんが通えるなんて、今でも信じられないよぉ。お姉ちゃんは、美形で優秀な弟を持てて、本当に嬉しいよっ!」 僕に抱きついてくる姉さん。ちなみに、僕たちの身長は同じくらいだ。 「はいはい、良かったね」 あやすように背中をぽんぽんと叩いてあげると、今度はいきなり僕の両肩をつかんで、真剣なまなざしで覗き込んでくる。 「静くん、週に1回は必ず学校の様子をレポートにしてお姉ちゃんにメールしなさいね!」 「レポートって……」 「可能なら、写真か映像も撮ってね」 「いくらなんでも、それは無理だよ」 「校内は無理でも、寮の中とかだったらスマホで撮れそうじゃない?」 ついつい溜め息をついてしまう僕。 「……善処してみます」 「静くん、大好き~」 再度抱きついてくる姉に苦笑するしかない。 この姉の明るさや人懐っこさの半分でも僕にあったら、と思う。 そんな僕の思いを察したかのように、姉が微笑みかけてくる。 「お姉ちゃんは、静くんがとっても素敵な男の子だって知ってるよ。これから静くんは生まれ変わるんだよ。綺麗で、賢くて、優しい、本当の静くんになるんだよ……」 ********** そして、海星聖明学園に通い始めた僕は、姉が予言した通り、自分でも驚くほどの変貌を遂げていった。 この学園で尊重される要素は三つ。 能力、容姿、社会的地位。
/344ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1188人が本棚に入れています
本棚に追加