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「でも、海聖学園なんて遠い遠い異世界みたいなものだと思ってたのに、そこに静くんが通えるなんて、今でも信じられないよぉ。お姉ちゃんは、美形で優秀な弟を持てて、本当に嬉しいよっ!」
僕に抱きついてくる姉さん。ちなみに、僕たちの身長は同じくらいだ。
「はいはい、良かったね」
あやすように背中をぽんぽんと叩いてあげると、今度はいきなり僕の両肩をつかんで、真剣なまなざしで覗き込んでくる。
「静くん、週に1回は必ず学校の様子をレポートにしてお姉ちゃんにメールしなさいね!」
「レポートって……」
「可能なら、写真か映像も撮ってね」
「いくらなんでも、それは無理だよ」
「校内は無理でも、寮の中とかだったらスマホで撮れそうじゃない?」
ついつい溜め息をついてしまう僕。
「……善処してみます」
「静くん、大好き~」
再度抱きついてくる姉に苦笑するしかない。
この姉の明るさや人懐っこさの半分でも僕にあったら、と思う。
そんな僕の思いを察したかのように、姉が微笑みかけてくる。
「お姉ちゃんは、静くんがとっても素敵な男の子だって知ってるよ。これから静くんは生まれ変わるんだよ。綺麗で、賢くて、優しい、本当の静くんになるんだよ……」
**********
そして、海星聖明学園に通い始めた僕は、姉が予言した通り、自分でも驚くほどの変貌を遂げていった。
この学園で尊重される要素は三つ。
能力、容姿、社会的地位。
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