1188人が本棚に入れています
本棚に追加
第1部 Boy meets boys [現在]
[1. 運命の輪]
僕はその時、生徒会長の親衛隊副隊長という立場だった。
彼に憧れて身も心も捧げた高校時代は、僕だけではなく、僕の家族までをも絶望の淵へと追いやって、その悲劇の幕を下ろすることになる……。
◇◇◇◇◇◇
「お前の顔など見たくもない」
誰よりも愛しい人が、冷ややかな視線を投げ掛けながら、そう言い放った。
互いの心を深く交わし合った時もあったはずなのに、全てが幻のように思える。今の彼の目に僕は排除すべき裏切り者としてしか映らないのだ。
「……乾様、ですが――」
「誰が勝手に口を開いていいと言った」
低く冷徹な声が、僕の体を竦ませる。
「お前の言い分など聞くつもりはない。今すぐここを去れ。二度とこの学園に姿を現すな」
(僕は乾様を守りたかった……。貴方は騙されているんです!)
去っていく会長の背に向かって、大声でそう叫びたい。
僕は無実だ。貴方を愛しているから、貴方を守るために行動したのだ、と。
けれど、喉から漏れるのは小さな嗚咽のみ。
心に反して体は、わずかに身じろぐ事も、声を発することもできない。
最初のコメントを投稿しよう!