別れの日

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転勤が決まった それに伴って、遠いところへ引っ越すことになった 今日は、引っ越しの日だ いつも優しかった、街の人々の姿が脳裏に浮かぶ 行くと、決まって野菜を割引してくれたおばちゃん いい肉を売ってくれたおじちゃん おすすめの本を教えてくれたお兄さん そして本を読みながら、ゆっくりくつろいだカフェ カフェは、特にお気に入りの店だった 笑顔が絶えない、ぽかぽかするお店だった たまに他のお客さんとも話したり、 紅茶の話だったりとか 皆が皆優しくて、安らげる空間だった 言い出そうとしたけれど、ついに言い出せなかった このまま私は、飛行機で遠い地へ行く 黙って行ってしまってごめんなさい 後悔の念が消えない いつもの街並みが、日常が こんなにあっさりと、無くなってしまうなんて 悲しいけれど、仕方がない しばらくは忙しくなるし、 こっちに戻れる余裕なんてないだろう きっと、これでサヨナラだ ここにはもう戻れない さようなら、私の日常 さようなら、私の大好きな街 さようなら、私に優しくしてくれた人々 さようなら、私のお気に入りのお店 全部、全部 きっと永遠に さようなら
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